
■船谷博生(以下F):
そう考えると、ソーシャルファームの考え方ですよね。その社会的な使命・役割なんかを考えながら、補助金には基本的には依存はしないで、全員障碍者の人も健常者の人も同じように1つの会社で、それぞれ役割を担い、それで1つの目標に向かっていくというのは、ソーシャルファームの考え方なんかはすごく近いのかもしれないですよね。
■松上利男氏(以下M):
これからはそれを目指すべきでしょうね、本当に。自立支援法ができてですね、その中で、その評価はともかくとして、その良さもあって、それによって「経営を考えなければ」と変わっていったとは思うんですよね。ただ、絶えず国の報酬に左右されてしまうという、そういうところから抜け出して、より実質的な福祉の実践・活動として成り立っていくような仕組みっていうのは必要。それは公的な資金に依存しない形の新しい資金を調達していくということが必要ですし、それによって本来、社会福祉法人に求められている社会的な責任、先駆的・開拓的な役割を担うことができる。
今まで社会福祉法人っていうのは、国が制度を作る前に、不足しているサービスなんかを自ら苦しい中で立ち上げて作り上げていって、国が制度とした後、落ちていっているという形になったんですよね。 それから今はもう逆転して、国の下請けみたいになってて、何かあれば国が悪いというような発想になっているんですけども、やっぱりこう別枠で財源を確保して、それをニーズはあるけども、まだサービスとして制度としてないというところを先駆的にやっていく仕組みも作っていくためには、そういうことも必要で。
それをするためにソーシャルファームとか、障碍のある人たちを雇用しながら、それは障碍のある人たちがたくさんいてとかではなくて、普通の職場として動いていって、最賃も保証しながら、良い製品を障碍があるということを付加価値にしないで、そこでちゃんとした経営ができて、その収益の何割かを、社会福祉法人の新たなサービスを作っていくというところに還元していくっていうそういうサイクルをこれからは目指すべきではないかというとこですね。だからやっぱりそこに一歩踏み出していくっていう、そういうモデルを提起していくというところで、随分今ある考え方に対しての1つの何かきっかけになっていく。
「ソーシャルファームを通してソーシャルインクルージョンをめざす」
■F:
それが、ソーシャルインクルージョンの第一歩なのかもしれないですね、共に働く。支援する立場だとか、暇つぶしをするだとか、そういういろんな立場を超えて、1つの事業体として1つの目標に向かって、みんなで向かっていくという。役割分担をしながら。それは本当に1つの一緒に何かをするという・・・
■M:
そう、その中での、障碍者のある人たちは障碍者としてではなくて、その仕組みの中の1つの理念とか方向性とかの中での1つの役割を、それぞれが担っている。それをお互いが認め合うというか、そこで何かが成り立っているというか、そういうのを実践しないと、口先だけで言っていても、共に生きると言っていても、職員は自分だけ別で給料をもらっていて、利用者は安い工賃の中で、それで「共に生きる」ではないでしょう。
■F:
共に生きるとか、共生の理念は随分昔から言われていますけど、これからなのかもしれないですよね。
■M:
まだまだでしょうね。これから本当に形を作っていく。それも、1つのビジネスモデルとして回していく、実践的にね。やっとそういうことが言える時代というか状況になったかな。私らの時なんて、「金儲け」とか「ビジネス」なんて言葉を言うと、もう「それは福祉ではない」なんてことが言われていましたけどね。今、やっと そういうことを言っても認められるようにというか、そういう人たちが増えたというのは、やっぱり変わってきたって。もう、ほとんど8割ぐらいは変わってないけど、2割ぐらいは変わってきたのかな。
■F:
2割変わるのはデカイですよね。
■M:
2割変わるとね。だから、全国的にみると、随分良いモデルがね、発信されてきていることも事実ですし、そこから学びながら今後のね、有るべき姿、私たちが目指すところを重ねていくというか積み上げていくというか、そういうことが大事になってくるかな。
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