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知っテミル

ソーシャルファームとは

社会福祉法人恩賜財団済生会 炭谷茂先生インタビュー 01

1. 日本社会が底割れをはじめた

■炭谷茂先生:
ソーシャルファームの前に、ソーシャルインクルージョンの話をしなくてはいけないと思うんですが、ソーシャル・インクルージョンというのがなぜ必要かというと、ここ1、2カ月、日本社会というのは底割れを始めたのではないかと思っているんですね。

それはなぜかといったら、ホームレス問題を問うとね、新宿で炊き出しサービスをやっているNPO団体の人に聞くとね、その行列が去年の2倍になっていると言うんですね。かつですね、実質的にホームレスと同じような生活をしている人間、例えば、ネットカフェ難民とか、夜遅くまでやっているファーストフード店(に居る)とか、そういう実質的にホームレスと同じような人たちがむしろ増えている、というふうに思いますね。それからですね、現在、昔からのホームレスの統計をとると、これはだんだん長期化していると、もうそれが、ずーっとこのまま生涯終わるのではないかというような人もいらっしゃる、というふうに思うんですね。それから、実際にホームレスをやっている人間をみると、社会から見放されたという、そういうふうにもなっているのではないかなと思います。

それからもう一つあるのはね、ホームレスに対して国の政策によって、生活保護を適応して、できるだけ家のアパートに住んでもらうという政策をここ数年やってきたわけですよ。 これは大変効果があった。それによってホームレスは、ぐっと減ったわけですよね。減ったんだけども、実際そのホームレスから脱却して、アパートに住んでいる人をみるとですね、はたして生きがいある生活をしているのかな・・?と思うと、そうじゃない状況じゃないかなと思うんですね。そうすると、日本の一番貧しい層を形成していると思われるホームレスの人間というのは、やはり社会から疎外される、社会から排除されると。そういう状態がもっと深刻化し増大していると思うんですね。

「本当の失業者はもっと多い。障碍者の失業はさらに・・」
今、失業率が5%を超えていると。単に失業率だけをみると、最近は横ばいもしくは減少なんだけども、実際は潜在的な失業者の数というのは、もっともっと多いというふうに言われていますね。

もっと失業者の数が多いという状況において、障碍者はどうしているのかなって思うとですね、障碍者は真っ先に解雇された人が大変多いのではないかなと思うのです。また、もう障碍者の中にはもう働くこと、働く仕事場を見つけるのはあきらめた、という人も実際は多いんですね。そういう人たちが、そもそも「働く意欲と能力がない」と言われてですね、失業者の中にも入っていない、というのが今の状況ではないかなというふうに思うんですね。

同じような状態というのは、高齢者にしてもニートたちの若者にしても、それから刑務所から出てきた人間ね、そういう人たちも全く同じような状態ですね、私は、本来社会においてそういう人たちに対して支援する仕組みというものが必要なんだけども、どうもそれがうまく整備されていない。そのために、日本社会の中には、底割れを始めたのではないないかな、というふうに思っています。

「社会から排除される人々と深刻化する貧困問題」
しかし、それに対する日本人、ある意味日本社会がどの程度気づいて、認識しているのかなっていえば、残念ながらそんなに深く考えていない、また、深く心配していないのが今の実情ではないのかなと思います。このようなことになっている背景には、私は二つのものがあると思っているんですね。

1つは社会との関係性。つまり、そういう人たちが社会から排除されたり社会から孤立をしていると、そのためにそういう問題が深刻化していると。まぁ昔であれば、誰かが何らかの支援の手を差し伸べたんじゃないかな、と思うのですがそういうものが無いからだと思うんですね。

2つ目にですね、私は「貧困」という問題がやはりあると。日本は、かつては中流社会で中流国で、みんな程々の生活をしてきたんだけども、そういうところから落ちてですね、貧困層を形成していく人が増加してきたと、長期化してきて沈殿してきたというのが、今の日本社会の状況だと思うんですよね。